医療法人社団 中部産婦人科医院
妊婦健診コラム

妊婦健診って何する?妊婦健診の検査内容やスケジュール

初めて妊娠した方にとって、「妊婦健診では何をするのか」、「妊婦健診にはどのような検査があるのか」「妊婦健診の費用やスケジュールはどのくらいなのか」など、分からないことが多く、疑問や不安を感じている方も多いかと思います。

妊婦健診は赤ちゃんの成長とお母さんの健康状態を定期的に確認するための大切な健診です。安心して妊娠期間を過ごし、無事に出産を迎えるためにも、妊婦健診の目的や重要性を理解し、医師と相談しながら適切なタイミングで受診することが大切です。

妊婦健診とは?

妊婦健診とは、妊娠中の母体と赤ちゃん(胎児)の健康状態を定期的に確認するための健康診査です。妊婦健診には、健康状態の確認だけでなく、病気の早期発見や赤ちゃんの成長を確認する目的も含まれます。母親と赤ちゃんが心身共に健やかな妊娠期間を過ごすための大切な健診です。

妊婦健診の目的と重要性

母体と胎児を守る

妊娠中は、体の変化が大きく、母体には高血圧や貧血、妊娠糖尿病などさまざまなトラブルが起こりやすくなります。同時に、胎児も発育の途中にあるため、わずかな異常が将来に影響することがあります。健診では血圧や体重、尿検査、血液検査、超音波検査などを通して、母体と胎児の状態を定期的に確認し、異変があればすぐに対応できる体制を整えています。

異常の早期発見

妊娠高血圧症候群や切迫早産、胎児発育不全などは、初期には自覚症状がほとんどないことが少なくありません。自分では元気だと感じていても、検査をすると数値に変化が出ている場合があります。妊婦健診を定期的に受けていれば、小さな変化の段階で気づくことができ、生活指導や治療によってリスクを軽減できます。

母子手帳との関係

母子手帳は、妊娠中から出産後、子どもの成長までを一冊で記録する大切な健康記録です。健診結果や検査データ、医師や助産師からの指導内容が書き込まれ、母子の健康履歴として積み重なっていきます。異なる医療機関を受診する場合でも、母子手帳があればこれまでの経過を正確に共有できるため、継続的で安全な医療を受けやすくなります。

不安の解消

妊娠中は体調の変化だけでなく、出産や育児への心配、初めての経験への戸惑いなど、精神的な不安も生じやすい時期です。健診の場では、医師や助産師に直接相談でき、疑問や悩みをその都度解消できます。胎児の心拍やエコー画像を確認できること自体が安心につながることも多く、心の安定は母体の健康にも良い影響を与えます。

妊婦健診のスケジュールと検査内容

妊娠初期の健診内容とタイミング

妊娠初期は妊娠から23週までを指します。妊娠が判明したら医療機関を受診し、最初の妊婦健診を受けます。一般的には、妊娠6週前後に初回の妊婦健診を受けるケースが多いです。

健診では、血圧や尿、体重の測定をし、母体の変化を確認します。血液型や貧血、血糖、感染症抗体などを調べる血液検査は期間中に1回実施され、感染予防のためB群溶血性レンサ球菌検査も行われます。子宮頸がん健診も初期に1回行われます。超音波検査では赤ちゃんの発育や心拍の状態を細かく観察します。

血圧測定
尿検査
体重測定
血液検査(血液型検査、血算、血糖検査、各種抗体検査、期間内に1回)
B群溶血性レンサ球菌検査(期間内に1回)
子宮頸がん健診(初期に1回)
超音波検査

妊娠中期の健診内容とタイミング

妊娠中期は妊娠24〜35週を指します。赤ちゃんが大きく成長する時期であり、母体への負担も徐々に増えてきます。

内容は初期と同様に血圧や尿、体重の測定を行いながら、赤ちゃんの発育状況を継続的に確認します。血算や血糖の血液検査を期間中に1回実施し、超音波検査では胎児の大きさや羊水量、胎盤の位置などをチェックします。

血圧測定
尿検査
体重測定
血液検査(血算・血糖検査、期間内に1回)
B群溶血性レンサ球菌検査 (期間内に1回)
超音波検査

妊娠後期の健診内容とタイミング

妊娠後期は妊娠24〜35週を指します。妊娠後期ではいつ出産に至ってもおかしくありません。そのため、予定日を超過した場合は1週間に2度健診を行う病院も多いです。帝王切開での出産が予定されている場合には、この時期に術前検査も行われます。

血圧や尿、体重の測定に加えて、血算の血液検査を期間中に1回行います。超音波検査で赤ちゃんの状態を確認し、NSTでは胎児心拍や子宮収縮をモニタリングして、出産に向けた最終的な安全確認を行います。

血圧測定
尿検査
体重測定
血液検査(血算、期間内に1回)
超音波検査
NST(ノンストレステスト)

妊婦健診の頻度と通院間隔の目安

妊婦健診の通院間隔は母子保健法に基づいて定められており、妊娠週数に応じた目安が設けられています。妊娠の進行とともに受診の頻度は徐々に高くなり、初期(22週まで)は4週間ごと、中期(24週から35週)は2週間ごと、後期(36週以降)は1週間ごとの通院が基本的な目安です。

ただし、妊娠の経過や体調、医師の判断によっては受診間隔が調整されることもあるため、安心して出産を迎えるためにも、かかりつけ医の指示に従って適切なペースで通院することが大切です。

妊婦健診のエコー検査とは?

経腟エコー

経腟エコーとは、腟からプローブと呼ばれる細いセンサーを挿入し、超音波によって子宮内の様子を調べるためのエコーです。主に妊娠初期の確認や月経異常の検査で用いられ、痛みはほとんどありません。

経腹エコー

経腹エコーとは、腹部にゼリーを塗り、お腹の上からプローブを当てて、超音波によって子宮内の様子を調べるためのエコーです。プローブから放出されている超音波は赤ちゃんの臓器や血管に当たって跳ね返り、再びプローブで探知します。この超音波の跳ね返りを映像化してモニターに映し出すことで、赤ちゃんの様子や成長具合を調べることができます。

一般的に、妊娠12週を経腟エコーから経腹エコーへの切り替えタイミングとしている事が多いですが、妊婦の希望や状態によって切り替えるタイミングは前後します。

妊婦健診の感染症検査

妊娠中に行う感染症検査には多くの種類があります。妊娠中に感染症にかかると、母体の体調悪化だけでなく、流産や早産、赤ちゃんへの感染や発育への影響につながることがあるため、早期発見と予防が重要です。主に血液検査やおりもの検査で感染や抗体の有無を調べます。

主な検査には、風しん抗体やB型・C型肝炎、梅毒、HIV、HTLV-1などの血液検査に加え、必要に応じてクラミジア検査やB群溶血性レンサ球菌検査が含まれます。抗体が不十分な場合は予防策を講じたり、感染が見つかった場合は早期治療や分娩方法の調整を行ったりすることで、赤ちゃんへの影響を最小限に抑えることが可能です。安心して出産を迎えるためにも、医師の説明を受けながら、指示どおりに検査を受けることが大切です。

妊娠初期の感染症検査

B型肝炎抗原
C型肝炎抗体
HIV抗体
梅毒血清反応
風疹ウイルス抗体

妊娠中期の感染症検査

B群溶血性レンサ球菌

妊娠後期の感染症検査

HTLV-1抗体検査
性器クラミジア

妊婦健診を受けない場合のリスク

妊婦健診を受けずに妊娠期間を過ごすと、母体と赤ちゃんの双方にとって大きなリスクを伴います。妊娠中は自覚症状がないまま病気やトラブルが進行することも多く、合併症を放置すると母体の重篤化だけでなく、早産や胎児発育不全、胎児機能不全などにつながるおそれがあります。症状が出てからでは対応が遅れることもあるため、定期的な検査による早期発見が重要です。

また、赤ちゃんの成長や心拍、胎盤や羊水の状態を確認しており、健診を受けないと発育の遅れや位置異常、羊水量の異常などに気づけなくなる可能性があります。適切な治療や分娩計画を立てられないまま出産を迎えることで、母子ともに危険な状態に至るリスクが高まります。

妊婦健診の費用と公的補助制度

妊婦健診の費用は受診する病院や地域によって異なりますが、1回あたり約5,000円程度が目安です。初回は検査項目が多いため、1万円を超える場合もあります。標準的な妊婦健診は14回程度が推奨されており、全て自己負担の場合は合計で10万円を超えることも珍しくありません。

なお、各自治体では妊婦健診補助券や公費負担制度が設けられており、母子手帳交付時に妊婦健診補助券(受診票)が配布されます。標準的な回数分が支給されるため、実際の自己負担額はかなり抑えられます。補助内容や上限額、利用できる医療機関、対象外となる検査は自治体ごとに異なるため、詳細はお住まいの自治体窓口や交付時の案内を確認することが大切です。